パーキンソン病の基礎知識(パーキンソン症候群)
フリー百科事典ウィキペディア『パーキンソン症候群』より
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パーキンソン症候群 (Parkinson's syndrome) とはパーキンソン病およびパーキンソン病症状を呈する疾患の総称である。パーキンソニズム (parkinsonism) ともよばれるが、パーキンソニズムは疾患群を意味するほかに下記の症状そのものをも意味する。
本態性パーキンソニズム
症状の原因が明らかでないパーキンソニズムを本態性パーキンソニズムという。そのほとんどがパーキンソン病であるが、そのほかに若年発症パーキンソニズム、遺伝性パーキンソニズムを分類することがある。
症候性パーキンソニズム
パーキンソン症状の要因が明らかなものを症候性パーキンソニズムという。
脳血管障害性パーキンソニズム
ラクナ梗塞後、特に多発性ラクナ梗塞に発症することが多い。ラクナ梗塞は大脳基底核に好発するためと考えられる。ビンスワンガー型白質脳症でパーキンソニズムを呈することもある。
脳炎後パーキンソニズム
1918年ごろに世界的に流行した嗜眠性脳炎(エコノモ脳炎)感染後のパーキンソニズムが有名である。映画「レナードの朝」で扱われている。その他の脳炎(日本脳炎など)や脳炎以外の感染症(クロイツフェルト・ヤコブ病、神経梅毒など)にも合併する。
薬剤性パーキンソニズム
多くの薬剤の副作用として起こる。服用後数日から数週間で発症することが多い。またパーキンソン病と異なり左右対称性に症状が発現する傾向がある。女性・高齢者で起こりやすく、同じ薬剤なら服用量が多いほど起きやすい。ジスキネジアやアカシジアといった不随意運動を伴いやすい。以下の薬剤で起こる。
■ドーパミン拮抗作用のある薬剤 - 抗精神病薬や抗うつ薬、制吐薬など
ドーパミン受容体のうちD2受容体のブロックにより惹起される。
1.フェノチアジン系 - クロルプロマジン、レボメプロマジン、フルフェナジン、
チオリダジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロペリシアジン、
トリフロペラジン
2.ブチロフェノン系 - ハロペリドール、フロロピパミド、モペロン、スピペロン、
チミペロン、ブロムペリドール
3.ベンザミド系 - スルピリド、スルトプリド、ネモナプリド、チアプリド
4.非定型精神病薬 - ペロスピロン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン
(クエチアピンは他の抗精神病薬に比べて副作用が出にくいといわれており、
パーキンソン病における幻覚や妄想などの精神症状に対しても使用されている)
5.三環系抗うつ薬 - イミプラミン、クロミプラミン、アミトリプチリン、アモキサピン、
ノルトリプチリン、ロフェプラミン、トリミプラミン
6.四環系抗うつ薬 - マプロチリン、ミアンセリン
7.その他の抗うつ薬 - トラゾドン、パロキセチン、フルボキサミン、ミルナシプラン
8.消化性潰瘍薬 - ラニチジン
9.制吐薬 - メトクロプラミド、イトプリド、オンダンセトロン、ドンペリドン
(ドンペリドンは比較的副作用の発現頻度が低いため、抗パーキンソン薬の主な副作用
である悪心・嘔吐に対して用いられる。これに対して最も一般的な制吐薬である
メトクロプラミドは、副作用発現頻度が高いためほとんど禁忌となっている)
■カルシウム拮抗薬
以前脳代謝改善薬として使用されていたシンナリジンによるパーキンソニズムの副作用が
多かった。現在日本ではこの薬剤は販売されていないため、カルシウム拮抗薬による
パーキンソニズムは頻度が減少した。
■血圧降下薬
レセルピンは中枢性血圧降下薬であるが、その作用機序がシナプスのドーパミンを枯渇
させるというものであるため、本来の作用としてパーキンソニズムを誘発しやすい
(この作用から、かつては抗精神病薬として用いられていた)。
■その他
頻尿改善薬、免疫抑制剤、抗がん剤、認知症治療薬、抗てんかん薬がパーキンソニズム
を起こすことが報告されている。
中毒性パーキンソニズム
一酸化炭素、マンガン、水銀、MPTP(1-メチル4-フェニル1,2,3,6-テトラヒドロピリジン)などの中毒によってパーキンソン症状が引き起こされることがある。
脳腫瘍